べらぼう 8話 逆襲の金々先生 あらすじ(2月23日放送)
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「籬の花(まがきのはな)」が「新吉原細見(しんよしわらさいけん)」に圧勝
8話の逆襲の金々先生では、蔦屋重三郎版の吉原細見「籬の花」と西村屋与八版の吉原細見「新吉原細見」が、それぞれ出版します。
地本問屋の間では西村屋与八版の「新吉原細見」も決して悪いできではありませんでしたが、小売客向けには蔦屋重三郎版の「籬の花」が圧勝します。
「五代目瀬川」が掲載された「籬の花」
なぜなら蔦屋重三郎版の吉原細見「籬の花」には、花の井が「五代目瀬川」の大名跡を継いだことが掲載されている上、販売価格が従来の半値であったからです。
蔦屋重三郎が「籬の花」を安く販売できた理由は、「べらぼう」7話の「蔦屋重三郎版の吉原細見「籬の花」は本当にヒットした」の項を参考にしてください。
鳥山検校(とりやまけんぎょう)が松葉屋で瀬川で初会をする
吉原細見「籬の花」がよく売れて、瀬川が客を呼んだせいか吉原は大盛況となり、女郎たちは大忙しです。
そんなとき盲人の鳥山検校(とりやまけんぎょう)が松葉屋に現れて、瀬川と初会をします。通常、花魁のような高級女郎は初会の客とは口を聞かないのが、吉原の慣わしです(「初めての客には口も聞かない花魁たち」の項参照)。
瀬川は鳥山検校が花魁の姿を目で楽しむことができないと察して、検校自身が瀬川に贈った本を読み聞かせることにします。
べらぼう 8話 ネタバレ(2月23日放送)
仲間に入れる約束を反故にする鶴屋喜右衛門
べらぼうの7話では鶴屋喜右衛門をはじめとした、江戸の地本問屋(じほんどんや)たちは、蔦屋重三郎と約束をしていました。
吉原細見を従来の2倍を売ったら地本問屋の仲間に入れてやると。
しかし蔦屋重三郎が本当に吉原細見「籬の花」を倍売ってしまうと、その約束はなかったことにしてほしいと反故にしようとします。
鶴屋喜右衛門が約束を破る理由
「べらぼう」8話では鶴屋喜右衛門は、約束を反故にする理由として、以下の2点を挙げています。
- 偽板事件で経営が傾いた鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)をサポートしたい
- 「吉原者」に出版のことに関わってほしくない
鶴屋喜右衛門に放り飛ばす駿河屋市右衛門
このことを聞いた引手茶屋・駿河屋市右衛門(高橋克実)は激高して、鶴屋喜右衛門を座敷から引きずり出して、座敷から放り投げるという暴挙に出ます。
鶴屋喜右衛門がこのような理由を挙げる理由は、江戸時代独特の商習慣と、吉原に対する偏見が絡んでいると見られます。
「株仲間」の存在と「忘八(ぼうはち)」として嫌われた吉原者
株仲間
「べらぼう」の7話と8話でたびたび登場する「仲間」という言葉は、現代の「お友だち」という意味で使われている「仲間」ではないでしょう。おそらく「株仲間(かぶなかま)」に類する存在という意味で使われています(書物問屋には公式の株仲間が存在しましたが地本問屋には公式な株仲間はありません)。
株仲間とは江戸時代に幕府や藩の許可を得て結成された商工業者の同業組合のことで、この組合に参入するためには「株(かぶ)」が必要でした。
既存の業者である鶴屋喜右衛門にしてみれば、吉原細見を従来の2倍の量を売ってしまう新規参入業者など、仲間のうちに入れたくないはずです。
それよりも経営が傾いた鱗形屋孫兵衛を地本問屋の仲間に入れておくほうが、自分の存在を脅かされずに済むでしょう。
忘八と言われた吉原の親父たち
鶴屋喜右衛門が嘲った「吉原者(よしわらもの)」とはその響きのとおり、吉原の女郎・女郎屋・揚屋・引手茶屋など吉原に関わるすべての人を差別する言葉です。
その差別の言葉として使われた1つが「忘八(ぼうはち)」という言葉です。意味は「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の八つの徳目を忘れた「ろくでなし」です。
忘八は特に女郎屋の主人に対して使われた言葉であり、彼らもしく彼女たちは天道と人道に背いた業体(ぎょうてい)、およそ人間にあらず。畜生同然の仕業、憎むに余りある」と、道ゆく人に蔑まれるほどの存在でした。
べらぼう 8話 用語(2月23日放送)
大河ドラマ「べらぼう」8話に登場する用語の用語集です。ドラマを視聴する際の参考にしてください。
- 新吉原細見(しんよしわらさいけん)
- 草双紙(くさぞうし)
- 赤本(あかほん)
- 塩売文太物語(しおうりぶんたものがたり)
- 青本(あおほん)
- 金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)
- 黄表紙(きびょうし)
- 女重宝記(おんなちょうほうき)
- 検校(けんぎょう)
そのほかの分からない単語につきましては、五十音順になった「べらぼう 用語集」の記事を参考にしてください。
新吉原細見(しんよしわらさいけん)
「べらぼう」の作中で西村屋与八(西村まさ彦)が板元となった吉原細見。
草双紙(くさぞうし)
江戸で生まれた子供向けの絵本のこと。表紙が赤かった「赤本」が草双紙の始まりと言われます。時代が下るにつれ、お話の筋はおとぎ話や昔話から、芝居や講談の筋を取り入れて多様化。読者層も子どもから大人に。
大人を対象とした草双紙には、「黄表紙(きびょうし)」・「青本(あおほん)」・「黒本(くろほん)」がありました。が赤かった
赤本(あかほん)
江戸で生まれた子供向けの絵本のこと。表紙が赤かったことから「赤本」と呼ばれています。
塩売文太物語(しおうりぶんたものがたり)
草双紙のうちの「赤本」の1つ。お金持ちの弱い者いじめ、貴種流離譚、動物の恩返しなど、昔話の基本的な要素を備えた内容になっています。
青本(あおほん)
草双紙の一種で子供向けの「赤本」を卒業した人が読む軽い読みもの。「青本」という名前の由来は表紙が萌黄色(もえぎいろ)をしていたことから。
金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)
1775(安永4)年に狂歌師の恋川春町が書いた黄表紙。金村屋金兵衛という貧乏な若者を主人公にした大人向けの読みもの。
黄表紙(きびょうし)
草双紙のうち知的で洒落っ気がある大人向けの読みもの。表紙が黄色かったことからこの名前が付けられたといわれています。
女重宝記(おんなちょうほうき)
日常生活に役立つ知識や身につけておくべき教養を項目ごとにまとめ平易に解説した百科事典風の書物。
検校(けんぎょう)
江戸時代に幕府が盲人(視覚障害者)に対して与えた最高位のこと。べらぼうの作中では鳥山検校(市原隼人)が登場します。