豊臣兄弟!の万丸(よろずまる)について
豊臣兄弟!の万丸とは
2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の16話「覚悟の比叡山」に登場する万丸(よろずまる)とは、とも(宮澤エマ)と弥助(上川周作)夫妻の長男で、小一郎(仲野太賀)・藤吉郎(池松壮亮)にとっては甥にあたる男の子です。
万丸は1591(天正19)年12月に豊臣秀吉から関白職を譲られて豊臣家の氏長者(うじのちょうじゃ)となった豊臣秀次(1564~1595年)の幼名でもあります。
豊臣兄弟! 万丸のキャストについて
2025年12月29日の時点で「豊臣兄弟!」に登場する万丸のキャストは発表されていません。ただ16話で登場するときの万丸の年齢は4才という設定です。そのため万丸役には子役の方がキャストされるでしょう。
万丸のちの豊臣秀次の幼少期について
豊臣秀次が生まれた年
のちに豊臣秀次と呼ばれることになる万丸は、生まれた年についていくつかの説が存在します。
大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されている黒田基樹さんの著作「羽柴秀吉とその一族」によると、秀次の誕生年には「1564(永禄7)年」・「1565(永禄8)年」・「1567(永禄10)年」・「1568(永禄11)年」の4つの説があることを指摘しています。
したがって生年についての所伝は四説あるものの、実態としては、大きく永禄七年か八年説と、同十年か同十一年説の二説に区分することができるだろう。そうすると永禄十一年説が成立しないとすれば、それと同種の同十年説も成立しないと見なすことができ、生年については永禄七年か同八年のいずれの可能性が高いと見ることができよう。しかしこれ以上の追究は不可能であり、いずれに確定できるのかは、引き続いて今後における検討課題として残さざるをえない。
「豊臣兄弟!」の16話は年代にすると、1571(元亀2)年から1572(元亀3)年ごろのお話です。そのときに万丸が4才ということは、大河ドラマ「豊臣兄弟!」では万丸が誕生した年は1567(永禄10)年から1568(永禄11)年と設定しているのでしょう。
豊臣秀次の幼名について
大河ドラマ「豊臣兄弟!」ではともと弥助の長男の名前は万丸という設定です。しかし豊臣秀次の幼名には諸説があり、万丸の他にも次兵衛・治兵衛(じへえ)を名乗っていたという説もあります。
豊臣秀次の生涯を記した「豊臣秀次 「殺生関白」の悲劇」によると、豊臣秀次が名乗っていた幼名には確かな根拠はないと説明しています。
たしかに、武士の子には幼名があり、元服して、名乗り、すなわち実名(諱)と仮名を名乗ることになる。しかし、秀次が生まれた段階の弥助の家は、我が子に幼名をつけられるほどの階層だったとは思えない。一説に幼名を万丸といったともいうが、疑問である。
万丸の出自と家族
万丸の父親は尾張国で馬貸しもしくは鷹匠の綱差(つなさし)をしていた弥助(のちの三好吉房)と、瑞竜院殿日秀尼(「豊臣兄弟!」のともにあたる女性)の間にできた長男として誕生します。
また万丸の兄弟には小吉(こきち)と呼ばれた豊臣秀勝と、鍋丸(なべまる)もしくは御虎(おとら)と呼ばれた豊臣秀保がいます。
宮部継潤の「養子」に出された万丸
「豊臣兄弟!」の16話では万丸が宮部継潤(ドンペイ)の養子に出すか出さないかで、藤吉郎・小一郎の兄弟と姉・ともの間で諍いが生じます。
ただ大河ドラマ「豊臣兄弟!」のガイドブックである「豊臣兄弟! 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)」に掲載されている「あらすじ」を読む限り、万丸を宮部継潤の養子に出す話は中止となり、それ以上のことは書かれていません。
しかし史実では1571(元亀2)年ごろには万丸は、木下藤吉郎秀吉が浅井家の部将である宮部継潤を織田家に寝返らせるために、宮部家へ養子に出されていたと考えられています。先に紹介した「豊臣秀次 「殺生関白」の悲劇」はこのように記述しています。
この点で、『関白秀次評伝』の著者荒木六之助氏は、「実際には、秀吉の方が頭を下げて、人質がわりにその甥を継潤のもとへ送ったとみるべきである」と述べているが、たしかにその可能性はある。この段階の秀次は、養子といっても、人質のような形で差し出されたとみてもまちがいではないからである。
小和田 哲男. 豊臣秀次 「殺生関白」の悲劇 (PHP新書) (p. 20). (Function). Kindle Edition.
なお宮部継潤の養子として送られた万丸は、のちに元服をして名を「宮部次兵衛尉吉継(みやべじひょうえのじょうよしつぐ)」と改称することになります。
豊臣兄弟! 万丸 関連記事と参考文献
豊臣兄弟! 万丸 関連記事
万丸、のちの豊臣秀次が宮部継潤の養子に出された経緯については下記の記事で詳しく紹介しています。
豊臣兄弟! 万丸 参考文献
今回の記事は下記の4冊の書籍を参考文献としています。これらの本の著者のうち黒田基樹さんは大河ドラマ「豊臣兄弟!」の時代考証を担当されています。
