蔦屋重三郎が朋誠堂喜三二を「まぁさん」と呼ぶ理由
「まぁさん」は「道陀楼麻阿(どうだろうまあ)」から
NHKの2025年大河ドラマ「べらぼう」で蔦屋重三郎(横浜流星)が、「まぁさん」と呼ぶ人物は、佐竹秋田藩士・平沢常富(ひらさわつねまさ)こと朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)のことを指します。
この「まぁさん」と言うあだ名は、べらぼう13話「お江戸揺るがす座頭金」で平沢常富が「道陀楼麻阿(どうだろうまあ)」と言うペンネームを使って遊女評判記「娼妃地理記(しょうひちりき)」を書いたことから来ています。
ちなみにこの「娼妃地理記(しょうひちりき)」は、平沢常富が蔦重と組んで出版し、吉原を国に見立てた洒落本です。
蔦重のことをすっかり気に入った朋誠堂喜三二
朋誠堂喜三二は蔦屋重三郎よりも15才年上ですが、秋田藩江戸留守居役として無類の「吉原マニア」であるため、吉原育ちの蔦重をことのほか気に入ったようです。べらぼう12話 俄なる「明月余情」で、吉原俄番付「明月余情」の「序」の部分を執筆して以来、朋誠堂喜三二はすっかり蔦重に打ち解けています。
そのため蔦重も打ち解けて、朋誠堂喜三二を「喜三二先生」などとは呼ばず、「まぁさん」と呼び始めます(べらぼう 15話)。
べらぼうの蔦重が「まぁさん」と呼んでいる例
べらぼう 15話 死を呼ぶ手袋
なだめすかしてやる気を出させるのも一苦労である。そこへ喜三二が顔を出した。
「あぁあ!まぁさん。よくおいでくださいました。ちょいとこちらへ」森下佳子 豊田美加「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 二 Kindle版」NHK出版 74ページより
べらぼう 16話 さらば源内、見立ては蓬莱
「恩が恩を呼ぶめでてぇいい話だよ。共に考えてた人もきっと喜んでくれるよ」
「それもこれもまぁさんのおかげ。いやまこと、この度はいたみ諸白」
諸白は日本酒の種類で伊丹の名産である。森下佳子 豊田美加「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 二 Kindle版」NHK出版 90ページ より
これらは小説の「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 二 Kindle版」から引用した文章で、蔦重が「まぁさん」と呼んんでいる例です。これら以外にも朋誠堂喜三二を「まぁさん」と呼ぶセリフはたくさん登場します。
