べらぼう 4話で「猫自慢の会」を開催
猫自慢をしながら錦絵の企画
べらぼう 4話「雛形若菜の甘い罠」では、遊女評判記「一目千本」の次なる集客を狙って、吉原の親父たちが、「猫自慢の会」をかねて錦絵を作って集客をしようと考えます。
猫を愛でることに夢中な吉原の親父たち
「猫自慢の会」というぐらいなので、駿河屋市右衛門(高橋克実)・松葉屋半左衛門(正名僕蔵)・大文字屋市兵衛(伊藤淳史)・扇屋宇右衛門(山路正弘)・りつ(安達祐実)をはじめとした吉原の親父たちは、自分たちが飼っている猫を持ち寄ります。
彼らは蔦屋重三郎(横浜流星)に錦絵づくりを命じつつも、資金の調達を心配する重三郎には「んにゃもんは任しとけ!」などと言って猫を愛でることに夢中です。
蔦重も猫言葉に
そして錦絵作りのために資金の協力を得られることを確認した、蔦屋重三郎も「この話、やらせてもらいにゃすぜ!」とすっかり猫言葉で乗り気になりました。
べらぼうに登場する猫の名前と種類
12匹の猫たちのプロフィール
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)」によると、「猫自慢の会」では、動物プロダクションの協力を得て全部で12匹の猫たちが持ち寄られたとのことです。
べらぼう 4話に「出演する」すべての猫にはちゃんと名前がつけられていて、その猫たちの名前と種類は以下の通りです。
- かぐや(白猫)
- 蘭丸(キジトラ)
- おみそ(茶トラ)
- 半助(ハチワレ)
- 利休(キジトラ)
- どて次郎(キジトラ)
- あんこ(黒猫)
- 茶々(サビ猫)
- 寅蔵(サバトラ)
- ちび(サビ猫)
- コマ(サビ猫)
- でん太(黒猫)
「べらぼう」の時代考証で考えられた猫たちの名前
これらの猫の名前は一見すると、猫の名前として現代でも使えそうです。しかし「べらぼう」の時代考証には妥協がありません。
大河ドラマ「べらぼう」で時代考証をしている先生にお願いして、当時ありそうな猫の名前を探してもらい、その名前を12匹の猫すべてにつけたいうこだわりようです。
「べらぼう」の美術考証
ちなみに「べらぼう」の時代考証だけでなく、美術考証も凝っています。猫たちの顔立ちや性格を考えながら首輪の色を決めて、手作業で手芸洋品店から仕入れた綿・ひも・布で首輪を作ったそうです。
べらぼう 江戸時代中期の猫
猫の飼育習慣と役割
大河ドラマ「べらぼう」の時代となる江戸時代中期(18世紀後半)では、猫をペットとして飼う習慣は既に存在していたようです。
猫は日本において古くから親しまれており、江戸時代には特にその存在が文化や日常生活に深く根付いていたと考えられます。
ネズミ捕りとしての実用的な役割
猫は主に家屋や倉庫でネズミを駆除するために飼われていました。特に、絹織物や穀物などを守るために猫の需要が高かったとされています。
ペットとしての側面
江戸時代中期には、猫を単なるネズミ捕り以上の存在として、愛玩動物(ペット)として飼う習慣も広がり始めました。これは特に「べらぼう」に登場する「吉原の親父たち」のよう裕福な町人や、武家の間で顕著でした。
猫の放し飼い
当時は現在のように完全室内飼いではなく、猫は放し飼いにされていることが一般的でした。そのため、猫が家と外を自由に行き来する光景がよく見られていたと言われています。
文化や文学における猫
浮世絵や絵画
江戸時代には猫を題材にした浮世絵や絵画が多く描かれています。特に歌川国芳は猫好きとして知られ、猫を擬人化した作品を数多く残しています。
文学作品
江戸時代の文献や随筆には猫に関する記述が見られます。式亭三馬の「浮世床」や、蔦屋重三郎と深い繋がりを持つようになる十返舎一九が書いた「東海道中膝栗毛」などには、猫が登場するエピソードがあります。
猫の名前
「玉」・「タマ」などの名前が当時から見られ、人々は現代と同様に猫を家族のように扱う意識が見られました。
猫と江戸の暮らし
江戸の町には猫が溶け込んでおり、町人文化の中で人々に親しまれていました。中には商店の看板猫や、寺社で飼われる猫も見られ、その姿は庶民の癒しとなる側面もありました。
2024年大河ドラマ「光る君へ」と猫
「光る君へ」の「小麻呂(こまろ)」
大河ドラマと猫といえば、べらぼうの前作で2024年に放送された「光る君へ(主演:吉高由里子)」でも猫に注目が集まりました。
黒木華さん扮する源倫子(みなもとのともこ)が飼っている猫である「小麻呂(こまろ)」がすっかり有名になったことが記憶に新しいところです。
「光る君へ」に「出演」した猫たち
「光る君へ」では話が進むにつれて、初代の小麻呂以外にも二代目の「小鞠(こまり)」や三代目の「こまる」にも注目が集まりました。
3匹の猫たちの種類は以下の通りです。
- 小麻呂(ハチワレ)
- 小鞠(ハチワレ)
- こまる(サバトラ)
2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」と猫
「豊臣兄弟!」の時代では実用的に飼われた猫
NHKは2025年大河ドラマ「べらぼう」の次の作品として、2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」の制作・放送をすでに発表しています。
豊臣秀長(仲野大賀)が活躍した16世紀から17世紀にかけての戦国時代では、現代と違って猫はペットとして飼われるというより、多くは穀物の倉庫を荒らすネズミを捕まえるために猫を飼うという実用的な側面が強かったそうです。
「光る君へ」・「べらぼう」・「豊臣兄弟!」で3作連続で猫の活躍を期待
一方で、現代でも商店や会社の玄関に置かれて、福を招くと言われる「招き猫人形」のルーツは戦国時代に発すると言われます。
さらに一部の武将や大名は猫を縁起物として旗指物や家紋のモチーフに用いる例もあったそうで、大河ドラマ「豊臣兄弟!」の時代でも猫と人間は馴染みが深かったと言えるでしょう。
「人間の俳優」さんたちだけでなく、「猫の俳優」さんたちも、「光る君へ」・「べらぼう」・「豊臣兄弟!」と3作続けてぜひ活躍してほしいものです。