豊臣兄弟! 与一郎のネタバレ: 結婚・三木城攻めの出陣
豊臣兄弟! 与一郎の人生を史実に基づいて明らかにする
2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で木下小一郎長秀(仲野太賀)と慶(吉岡里帆)の嫡男として生まれた与一郎(よいちろう)は、その後どういう人生を歩むのでしょうか?
今回の記事では、豊臣秀長とその正室・慈雲院との間にできた子供で、1568(永禄11)年ごろに誕生したとされる木下与一郎(羽柴与一郎)の人生を史実に基づいて解き明かしていきましょう。
那古屋因幡守敦順の次女・岩との結婚
木下与一郎の人生でまず注目すべき出来事は、那古屋因幡守敦順(あつより)と養雲院殿の間の次女として生まれた岩(いわ)(のちの智勝院)という女性との結婚です。
那古屋因幡守敦順と養雲院殿の夫妻は、木下藤吉郎秀吉と寧々の結婚を斡旋した人物と考えられています。そのつながりの深さから岩が、与一郎がいる木下家に嫁ぐことになったのかもしれません。
三木城攻めのために出陣していたか?
与一郎は1578(天正6)年から1580(天正8)年にかけて播磨国の三木城で行われた攻城戦に従軍していたかもしれません。
三木城を包囲する武将の一人として「図説 豊臣秀長」の17ページにおいて、「木下与市郎」という名前を見つけることができます。同書によると「木下与市郎」なる人物は、羽柴秀長とは別の部隊を形成する一手の大将を務めているとしています。
現代の日本であれば18才にも満たない若者が戦場に駆り出されることは、「人権問題」として非難されるでしょう。しかし戦国時代当時の日本では、10代前半で元服を済ませた武家の男子が初陣をすることはごく当たり前のことでした。
実際、1987年のNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」の主人公であり、仙台藩62万石の初代藩主・伊達政宗(1567~1636年)は、満年齢にして13才、現代風に言えば中学2年生のときに初陣を済ませています。
いずれにしても木下与一郎が、本当に中国征伐の一環として行われた「三木城攻め」に参加していたか研究が待たれるところです。
豊臣兄弟! 与一郎のネタバレ: 10代半ばで早逝
10代半ばのうちに死去
しかし木下与一郎の人生で注目すべき点は、今のところ岩との結婚と三木城攻めに従軍していたかどうかの2点だけです。なぜなら与一郎は10代半ばのうちに亡くなっているからです。
与一郎の死因は分かりません。ただ与一郎は1582(天正10)年に亡くなっていることは、藤堂高虎の伝記である「高山公実録」に掲載されている記述から明らかになっています。
羽柴美濃守秀長公大和・泉州・紀州三カ国の大主として播州姫路より郡山へ御所替え、御実子早世に付き、秀長公但州出石に御在城の時、天正十年に丹波五郎左衛門長秀の三男千丸をご養子これ有り、
「高山公実録」にある「御実子早世」という記述が、「与一郎が若くして亡くなった」という意味になります。
与一郎亡き後の木下小一郎長秀の嫡男について
引用した「高山公実録」には「丹波五郎左衛門長秀の三男千丸をご養子これ有り」という記述もあります。これは与一郎が死去したのちに、丹羽長秀の三男である千丸(または仙丸)を小一郎長秀の養嗣子として迎えたことを意味します。
冒頭で説明したように与一郎は嫡男であり、小一郎長秀の跡を継ぐべき立場の男の子で政治的に非常に重要なポジションにいました。
一方、与一郎の伯父にあたる羽柴秀吉には、織田家の重臣の一人である丹羽長秀と繋がりを深めたいという事情がありました。そこで「空席と嫡男」を埋める大義名分として、弟・小一郎長秀の後継者として丹羽家の男子を連れてきたのです。
与一郎の妻・岩は養女に
なお与一郎が亡くなったのちに「動いた子供」は千丸だけではありません。与一郎の妻・岩も「動いた子供」の一人です。与一郎が亡くなった当時、岩の年齢は数えの年でも8才、現代の満年齢の数え方にするとわずか7才の子供でした。
そのため小一郎長秀と慈雲院は、岩をあらためて養子縁組をし直し、養女として養育することに。
岩のその後の動向については「森家先代実録」に記録が残されています。その記録によると、岩は1594(文禄3)年2月に豊臣秀吉の取りなしによって、森忠政と結婚。
忠政との結婚後、岩は二男三女の合計5人の子供を産みますが、5人目の子供を産んだ翌年の1607(慶長12)年5月3日に亡くなります。享年33。法名は「知勝院殿月桂宗清大禅定尼」。
豊臣兄弟! 与一郎 どうなる 関連記事と参考文献
豊臣兄弟! 与一郎 どうなる 関連記事
大河ドラマ「豊臣兄弟!」に登場する与一郎については下記の記事でも言及しています。合わせて参考にしてください。
豊臣兄弟! 与一郎 どうなる 参考文献
今回の記事は下記の書籍を参考としています。これらの著作の著者のうち、黒田基樹さんと柴裕之さんは大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されています。
- 八津弘幸 豊臣兄弟! 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド) NHK出版
- 黒田基樹 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書)
- 柴裕之(編著)豊臣秀長 (シリーズ・織豊大名の研究) 戎光祥出版
- 黒田基樹. 羽柴秀長の生涯 (平凡社新書 1088)
- 河内将芳 図説 豊臣秀長――秀吉政権を支えた天下の柱石 戎光祥出版
