べらぼう 10話 青楼美人の見る夢は あらすじ(3月2日放送)
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蔦屋重三郎、十代将軍・家治に絵を献上することを企画
吉原の親父たち(松葉屋・大文字屋・大黒屋・駿河屋など)と江戸市中の地本問屋たち(鶴屋・西村屋・鱗形屋など)の仲は険悪なままです。この状態が続くと「吉原ガイドブック」である吉原細見は江戸市中に流通せず、また吉原への遊客の足が遠のきます。
そこで吉原の親父たちと蔦屋重三郎は、とびきり豪華な絵を十代将軍・家治に献上して、吉原の格を上げようと企画。もし「吉原には上様がお忍びでお遊びにいらっしゃる」という噂が江戸市中に立てば、吉原に通う客筋は格段に良くなり、見世に落としていく金額も自然と大きくなります。
いわば「量」より「質」を狙った集客作戦です。
北尾重政と勝川春章の起用
そこで蔦屋重三郎は、遊女評判記「一目千本」の挿絵を担当した人気絵師・北尾重政(橋本淳)と、勝川春章(かつかわしゅんしょう)(前野朋哉)に吉原にまつわる絵を描いてもらうことを依頼します。
そのために蔦屋重三郎はまだ見世(営業時間)が始まっていない松葉屋に上がってもらい、瀬川(小芝風花)や松の井(久保田紗友)の日常生活の様子を見てもらいます。
賢丸の影響力を残すために種姫が徳川家治の養女に
一方、江戸城中の田安賢丸は白河松平藩藩主・松平定邦の元に養子へ行く日が迫っています。
そんな中、老中首座の松平武元(石坂浩二)や、賢丸の母・宝蓮院(花總まり)など賢丸を田安家に残しておきたいと考える一派たちは、次なる策を考えだします。
それは賢丸の妹で、田安宗武の七女である種姫を徳川家治(眞島秀和)の養女に迎え、ゆくゆくは将軍世子の家基の正室とすることで、江戸城中に賢丸の影響力が残るように画策します。
べらぼう 10話 ネタバレ(3月9日放送)
青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ)は高かった
べらぼう 10話で蔦屋重三郎が吉原を売り出すために「青楼美人合姿鏡」という俳諧絵本をプロデュースします。
史実によると「青楼美人合姿鏡」は、吉原細見「籬の花」のようには売れなかったそうです。「青楼美人合姿鏡」の作品そのものは大変良くできたものではありますが、「籬の花」と違ってその欠点は値段が高かったことです。
べらぼう11話では「青楼美人合姿鏡」の小売価格は銀二十匁(約9万4,000円)で販売されたことになっています。
青楼美人合姿鏡が高くなった理由
「籬の花」はページ数を減らすなどして、本としての原価を抑える工夫を徹底的に行なった一方で、「青楼美人合姿鏡」は多色刷りで、しかも当時の人気絵師である北尾重政と勝川春章の2人に絵を発注しています。
「青楼美人合姿鏡」のコストである、「印刷代 + 絵の発注費用」が膨らんでしまったことは、容易に想像できます。
資金の出どころは山崎屋金兵衛
「青楼美人合姿鏡」を制作するにあたって、蔦屋重三郎が優れていたとされる点は、むしろ山崎屋金兵衛(やまざきやきんべえ)と相板元(あいはんもと)となったことでしょう。
蔦屋重三郎は山崎屋と共同出版をするという体裁を取ると、次の2つの点においてメリットがあります。
- 地本問屋の仲間でなくても本が出版できる
- 資金の供給を山崎屋を頼れる。
「青楼美人合姿鏡」を刊行した当時の蔦屋重三郎の事業内容は、貸本屋と本の小売屋(耕書堂)にすぎません。リスクの高い「青楼美人合姿鏡」を出版する資金的余裕はなかったはずです。
リスクを回避する蔦屋重三郎
実際、「青楼美人合姿鏡」を制作するにあたって、蔦屋重三郎と山崎屋金兵衛は役割分担をしていて、蔦屋重三郎は主に企画と絵師との交渉、山崎屋金兵衛は資金調達を担当していたようです。
「青楼美人合姿鏡」の制作は、蔦屋重三郎が商売において、極力リスクを避けるという手堅い商売人であったことを見せる機会でもありました。
なぜ蔦屋重三郎は「青楼美人合姿鏡」を高く設定したのか?
それでは「堅実な商売」をモットーとする蔦屋重三郎は、なぜわざわざ高額な「青楼美人合姿鏡」を制作したのでしょうか?制作前の段階では「高くても売れる」と踏んでいたのでしょうか?
残念ながら資料を調べている限り、蔦屋重三郎がなぜリスクの高い「青楼美人合姿鏡」をプロデュースしたのか分かりません。
大河ドラマ べらぼうの「青楼美人合姿鏡」
ただべらぼう 10話では蔦屋重三郎が「青楼美人合姿鏡」の制作に取り掛かったのは、
- 十代将軍・徳川家治(眞島秀和)に献上して吉原の評判を高めるため
- 五代目瀬川(小芝風花)が身請けされて吉原を去るときの餞(はなむけ)としたかったため
の2点が挙げられています。
べらぼう10話のタイトルは「青楼美人の見る夢は」となっていますが、ここでいう「青楼美人」とは瀬川のことです。
べらぼう 10話に登場する「青楼美人合姿鏡」の作品は、瀬川の日常の様子が描かれているというネタバレになっています。
べらぼう 10話 用語(3月9日放送)
大河ドラマ「べらぼう」10話に登場する用語の用語集です。ドラマを視聴する際の参考にしてください。
- 西の丸様(にしのまるさま)
- 西の丸御殿(にしのまるごてん)
- 青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ)
- べらぼう(べらぼう)
- 山崎屋(やまざきや)
- 相板元(あいはんもと)
そのほかの分からない単語につきましては、五十音順になった「べらぼう 用語集」の記事を参考にしてください。
西の丸様(にしのまるさま)
江戸城西の丸に居住する徳川将軍の世子、後継者のこと。「べらぼう」では徳川家基が「西の丸様」と呼ばれています。
西の丸御殿(にしのまるごてん)
江戸城西の丸のことで、将軍の世子(西の丸様)と将軍を引退した大御所(おおごしょ)の居住スペース。幕政を担当せず徳川家の家政を担当する西の丸老中が出入りをしていました。
青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ)
1776(安永5)年に勝川春章(前野朋哉)と北尾重政(橋本淳)が合作した俳諧絵本。吉原の女郎の姿絵が多色刷りで描かれています。
べらぼう(べらぼう)
「程度が桁外れなこと」、「はなはだしい様子」、あるいは「常識では考えられないばかげたこと」を表す江戸方言の1つ
山崎屋(やまざきや)
山崎屋金兵衛のことで、蔦屋重三郎が「青楼美人合姿鏡」を出版する際に相板元となった板元。山崎屋は資金の供給を担当し、蔦屋重三郎は企画と勝川春章と北尾重政への交渉を担当したと言われています。
相板元(あいはんもと)
板元同士でいくつかの版木を持ち合って共同で出版する複数の板元のこと。