「白天狗」と田沼意次
「白天狗」の意味
NHKの2025年大河ドラマ「べらぼう」21話「蝦夷桜上野屁音」以降で、セリフとして使われる「白天狗(しろてんぐ)」とは、御三卿の1つ一橋徳川家の第二代当主である一橋治済(生田斗真)のあだ名です。
特に一橋治済のことを「白天狗」と呼ぶのは、老中の田沼意次(渡辺謙)。「白」というのは一橋治済が色白な容貌をしていること。そして「天狗」とは天狗が伝承上の妖怪とされているようにその行動が不気味で、得体が知れないという意味でしょう。
この「白」と「天狗」を合わせた「白天狗」を一橋治済のあだ名とするのは言い得て妙です。
「白天狗」の不可解な考え方と事件
実際「べらぼう」における一橋治済の考え方や行動は、不可解なことが多いままです。徳川家基が急死した後も、一橋徳川家以外に「西の丸様」となる男子がいないにも関わらず、自分や嫡男の一橋豊千代(のちの十一代将軍・徳川家斉)が将軍後継者となることに否定的でした。
その一方で一橋徳川家以外の男子で、将軍後継者の資格がある人物たち、さらに自分の行動に疑いを持ってかかる人物は次々と不審な死を遂げています。
こういった徳川家関係者の死は、どれも一橋徳川家の男子が徳川宗家を継いで将軍となるために好都合な事件です。
「白天狗」を警戒する田沼意次
田沼意次は、弟の田沼意誠や、甥の田沼意致(宮尾俊太郎)が一橋徳川家の家老に迎えられていて、一橋治済には「恩」があります。
しかし将軍後継者を巡る争いの中で、一橋徳川家にとって都合が良すぎる状況には、意次はかなり疑念を抱いています。一方で田沼意次が密かに計画を進める、「抜荷」をしている松前藩の上知について、一橋治済がすでに察知している気配が。
こうしたことから、意次は自分の息子である田沼意知(宮沢氷魚)や用人の三浦庄司(原田泰造)など信頼できる家臣たちの前では、一橋治済のことを「白天狗」と呼んで警戒心を露わにしているのでしょう。
べらぼう 21話(幕政関係) 関連情報
べらぼう 21話
花雲助とは
- 花雲助(はなのくもすけ)とは田沼意知の狂名のこと べらぼう
べらぼう 抜荷
- べらぼう 抜荷(ぬけに)松前道廣が蝦夷地でオロシャと行う密貿易
