抜荷の証拠を掴んで蝦夷地を天領にしたい田沼意次
松前藩が蝦夷地でオロシャと密貿易か?
NHKの2025年大河ドラマ「べらぼう」の21話「蝦夷桜上野屁音」以降で使われる「抜荷(ぬけに)」とは、松前藩藩主・松前道廣(えなりかずき)が、蝦夷地でオロシャと行なっているとされる密貿易のことを意味します。
「べらぼう」の時代背景となっている江戸時代中期において、鎖国が幕府の国是です。海外貿易はオランダ・清国だけを貿易相手国として認め、長崎の出島だけで例外的に行われていました。
オランダ・清以外の国と長崎以外の場所で行う貿易はすべて違法で御法度です。この国禁を犯す大名は、幕府からお家断絶や上知を言い渡されても文句が言えません。
しかし松前道廣は奔放な性格の持ち主なせいか、抜荷が「天下の大罪」であることなど気にしていない様子です。
田沼意次による蝦夷地の天領化構想
幕府の財政を担当する田沼意次(渡辺謙)は、平賀源内(安田顕)から聞かされたように天領としての蝦夷地に以前から魅力を感じていました。
蝦夷地には金銀銅などの鉱物資源を採掘できる可能性があり、サケ・ニシン・昆布をはじめとした海産物も豊富です。さらに仙台藩の藩医・工藤平助が記した「赤蝦夷風説考(あかえぞふうせつこう)」によると、オロシャはアイヌや日本人と交易を求めて蝦夷地にやってくると書かれています。
しかし蝦夷地は松前藩の領地です。それを幕府の直轄領とするためには、松前藩の失態を探し出して上知(あげち)をさせなければなりません。
松前藩の抜荷の証拠を探す田沼意知
そこで田沼意次が目を付けたのが、巷で噂されている松前道廣が行なっているとされるオロシャとの抜荷です。松前藩がオロシャと密貿易の取引をしている決定的証拠を掴むために、意次の息子である田沼意知(宮沢氷魚)が情報工作員として江戸市中に放たれます。
意知は「花雲助」と言う狂名を使って、幕府勘定所組頭・土山宗次郎(栁俊太郎)が吉原遊郭の駿河屋で開く「狂歌の会」に参加して、松前藩の元・勘定奉行である湊源左衛門という武士と接触をします。
べらぼう 21話(幕政関係) 関連情報
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