豊臣兄弟!の甚助について
豊臣兄弟!の甚助とは
NHKの2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」で前原瑞樹さんが演じる甚助(じんすけ)とは、のちに副田吉成(そえだよしなり)(生没年不詳)と名乗り、豊臣秀吉(池松壮亮)・豊臣秀長(仲野太賀)兄弟の妹・あさひ(倉沢杏菜)と結婚します。
のちに副田吉成は但馬国で守備していた城を地元の一揆勢に奪われたことで秀吉から叱責を受け、朝日姫と離縁させられてしまいます。
豊臣兄弟! 甚助の役柄
豊臣兄弟の妹・あさひの夫。のちの副田吉成。天真爛漫(らんまん)なあさひとは良き夫婦となる。弥助同様、小一郎たち行動を共にすることに。
豊臣兄弟! 甚助 役 前原瑞樹さんプロフィール
1992年生まれ、長崎県出身。NHKでは連続テレビ小説「ひよっこ」・「舞いあがれ!」・「らんまん」・「ばけばけ」などに出演。
豊臣兄弟! 甚助(副田吉成)の名前と出自
豊臣兄弟! 甚助の名前
「豊臣兄弟!」の甚助にあたる人物は、1580(天正8)年に羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)本人が残した覚書の中で「副田甚兵衛(そえだじんひょうえ)」として名前が残っています。
神吉の城の事 副田甚兵衛
黒田 基樹. 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書) (p. 48). (Function). Kindle Edition.
「甚兵衛」は官途名であり、実名ではありません。「豊臣兄弟!」では実名として伝わっている「吉成」を前原瑞樹さんの役名として使うようです。
なお甚助にあたる人物は、所伝によっては「佐治日向守(さじひゅうがのかみ)」という名前で登場することもあります。なぜ名前が異なるかについては、下記の記事で詳しく言及しています。合わせて参考にしてください。
豊臣兄弟! 甚助の出自
副田甚兵衛尉は生没年が不詳であるように、出自は全く分かりません。
副田甚兵衛尉が史料に最初に登場するのは、上述した通り、1580(天正8)年に羽柴秀吉が書いた覚書の中です。この覚書によると、副田甚兵衛は播磨国にあった神吉城の破却を担当することになっています。
豊臣兄弟! 甚助(副田吉成)の動向
甚助はあさひといつ頃結婚したのか?
甚助の役柄ではあさひと結婚することになっています。
しかし実在した副田吉成と朝日姫が具体的にいつ結婚したかは分かりません。ただ江戸時代の1673(寛文13/延宝元)年に編纂された「武家事紀」によると、副田吉成と秀吉の関係についてこのような記述があります。
但馬国を領し、出石に在城、二方郡台の城に副田甚兵衛尉〈秀吉妹婿〉在て秀長の与力たり、
黒田 基樹. 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書) (p. 47). (Function). Kindle Edition.
秀吉と秀長の兄弟が但馬国を領国として出石城に在城していたのは、1580(天正8)年ごろのことです。その時には副田吉成は「秀吉妹婿」とされていることから、少なくともこのときまでには甚助とあさひは結婚していたとされるでしょう。
因幡国の多伊城を奪われたためあさひと離縁させられる
「武家事紀」によると秀長が但馬国を領国としていた頃、副田吉成は同国西北部にあって因幡国に近い多伊城に在城していたとされています。
1582(天正10)年6月2日に本能寺の変が発生し織田信長が敗死すると、吉成は但馬国から播磨国に移動。しかしこのときそれまで守備していた多伊城を地元の一揆勢に奪われます。
公(秀吉)の妹は元副田甚兵衛妻なり、副田但馬国二方郡多伊城に在り、信長逝去の時、副田兵を播州に出し、其のあとにて一揆起こり、多伊城を攻め取る、宮部(継潤)馳せ来たりて取りかえす、これより副田が妻を公奪いて与えず、副田猶勤仕す、
黒田 基樹. 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書) (p. 47). (Function). Kindle Edition.
多伊城そのものは因幡国に在国していた秀吉家臣の宮部継潤(ドンペイ)によって再奪取できたようですが、副田吉成はこの失態がもとで、あさひとは離縁させられてしまったようです。
通説では副田吉成が秀吉によって朝日姫と離婚させられた理由は、朝日姫が1586(天正14)年に徳川家康と結婚するためと説明されることがあります。
しかし「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されている黒田基樹さんは、副田吉成があさひと離婚した理由は家康との結婚ではなく、多伊城を奪われたことが原因ではないかと指摘されています。
副田吉成があさひと離婚することになった経緯については、下記の記事でも言及しています。合わせて参考にしてください。
副田甚兵衛尉 関連記事と参考文献
副田甚兵衛尉 関連記事
豊臣秀吉・秀長兄弟の妹・あさひ(倉沢杏菜)の夫としての副田甚兵衛尉に関しては以下の記事でも言及しています。合わせて参考にしてください。
副田甚兵衛尉 参考文献
今回の記事を書くにあたって以下の文献を参考にしました。著者の黒田基樹さんは、2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されています。
