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豊臣秀長の死去と最期 葬儀の様子や古渓宗陳による引導

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豊臣秀長の死去と最期のエピソード

豊臣秀長は大和郡山城で病死 享年51

2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公・豊臣秀長仲野太賀)は1591(天正19)年1月21日に大和郡山城で病死します。享年51。

秀長の死因となっている「病気」については具体的な病名は明らかになっていません。ただ1586(天正14)年には横根(足の付け根のリンパ節炎)に、1587(天正15)年には霍乱(急性胃腸炎)にかかっていたことが分かっています。

普段の仕事は激務だったことから、過労による免疫力低下のため細菌やウイルスが入り込みやすい状態になっていた可能性があります。

秀長最期のエピソード: 膨大な数の金銀が蓄財されていた

秀長が亡くなった直後、豊臣秀吉から派遣された長谷川藤五郎という家臣が、養嗣子・豊臣秀保に大和・紀伊の2カ国の相続を許すという内容が書かれた秀吉の朱印状を持って大和郡山城を訪れます。

この時、城内には金が5万6,000枚、銀が二間四方の部屋に棟までギッチリ積み上げられていました。驚いた長谷川はこうした金・銀の詰まった部屋を封印して大坂城に戻ったほどです。

生前の豊臣秀長がどれほどの蓄財家であったかを表すエピソードでしょう。

秀長の葬儀・古渓宗陳による引導・追善供養について

秀長の葬儀の様子

1591(天正19)年1月28日には秀吉は「天下触穢(てんかしょくえ)」の命令を出します。つまり日本全国で秀長の喪に服すよう命じているのです。

さらに1月29日は秀長の葬礼が大和郡山で行われています。京都・大徳寺の古渓宗陳(こけいそうちん)が引導を務め、法名は「大光院殿前亜相春岳紹栄大居士」。

秀長の葬礼には奈良の僧侶たちだけではく、京都や高野山からの僧侶、領民なども参加。その数は20万人に及び、「多聞院日記」によると、その見物人たちで野山を埋め尽くすほどであったという記録が残っています。

古渓宗陳和尚による引導

秀長の葬礼で引導の導師を務めた古渓宗陳が作成した引導法語(僧侶が葬儀の時に使う故人を仏の世界に導くための特別な言葉)が残されています。

そこには「徳は文武を兼ね」と、文武両道の武将であったこと、「道は君臣合す」と、家臣との関係が良好であったこと、「河帯山礪、豊氏の家を興す」と、豊臣氏の忠臣として信任が厚く、豊臣氏を興したこと、「六十余州の英宰を甲す」と、日本国の平定を果たしたこと、「威ありて猛からず、靄然して仁有り」と、権威がありながらも威張らず、穏やかで思いやりがあったこと、「陶朱・倚頓の富を咲倒す」と、古代中国の蓄財家の陶朱・倚頓の二人より財産を蓄えたこと、などがみえている(「蒲庵稿」『茶道文化研究』第三輯)。

黒田基樹. 羽柴秀長の生涯 (平凡社新書 1088) (pp. 231-232). (Function). Kindle Edition.

こうした言葉は本来の人物像よりも、美辞麗句を使った盛った内容になるものです。しかし、そのことを割り引いたとしたしても秀長は穏やかで思いやりがあり、そして蓄財家であったことが偲ばれます。

徳川家康・毛利輝元・長宗我部元親による追善供養

さらに秀長の追善供養は養嗣子・豊臣秀保だけではなく、秀長の生前に秀長から「指南(政治や軍事の指導)」を受けていた徳川家康・毛利輝元・長宗我部元親たちによっても行われています。

家康は月命日と一周忌の法要を、毛利輝元は月命日の法要を、長宗我部元親は四十九日の法要をそれぞれ行なっています。

毛利輝元と長宗我部元親による法要では、古渓宗陳による仏事香語(故人を仏の世界に導く言葉のこと)が用いられました。

豊臣秀長の死因について

秀長が粛清された可能性は限りなく低い

秀長の死は病名が明らかになっていない「病死」ということになっています。そのため「秀長は秀吉に粛清された」や「毒殺された」という噂が飛び交う余地が残ってしまいます。

そのうち「粛清説」については「豊臣秀長 病気 急性胃腸炎・リンパ節炎 死因は免疫力低下か:吉川平助の材木売買事件と秀吉による粛清説」という記事で可能性は限りなく低いとしました。

秀長が毒殺された可能性も限りなく低い

さらに秀長の葬儀の際に用いられた古渓宗陳の引導法語や、外様大名による追善供養があったことを顧みると「毒殺説」もその可能性はあったとしても限りなく低いと考えた方が良いのではないでしょうか。

秀長の人柄や日本全国にいる大大名たちに「取次」をしていた実績を考えると、秀長に毒を飲ませて殺したいと考える人間は、ほぼいなかったと考える方が妥当でしょう。

豊臣秀長の死去と最期 関連記事と参考資料

豊臣秀長の死去と最期 関連記事

豊臣秀長の死因や病気に関する内容は以下の記事でも言及しています。合わせて参考にしてください。

豊臣秀長の死去と最期 参考資料

今回の記事を書くにあたり、以下の文献を参考にしました。著者の柴裕之さんと黒田基樹さんは、いずれも2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されています。

著:黒田 基樹
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