誰袖が使う「主さん(ぬし)」さんは廓言葉の1つ
主さんとは
NHKの2025年大河ドラマ「べらぼう」の23話「我こそは江戸一の利者なり」で、花魁・誰袖(福原遥)のセリフとして使われる「主さん(ぬしさん)」とは、廓言葉の1つで二人称の「あなた」という意味です。
「主さん」という二人称には男性客に対する敬意も込められています。誰袖がべらぼう 23話以降で相手にする主な客は、松前廣年(ひょうろく)・田沼意知(宮沢氷魚)です。ドラマの中で誰袖が「主さん」と呼んでいるときは、だいたいはこの2人のどちらかということになるでしょう。
「主さん」の使用例
下記の文章は大河ドラマ「べらぼう」をノベライズした「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 二」から引用した文章で、誰袖が田沼意知のことを「主さん」と呼んでいる例です。
誰袖は、意知の端正な顔を大きな瞳に映して言った。 「花雲助様。わっちを身請けしておくんなんし」 意知は戸惑った。まさか身請けを取引に持ち出してくるとは思わない。 「主さんを一目お見かけし、すぐに分かりんした。主さんは仏様がわっちのためにお遣わしになったお方と」 「……気持ちは嬉しいが、あいにく身請けできる金などなくてな」
森下 佳子; 豊田 美加. べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 二 (p. 225). (Function). Kindle Edition.
なお「花雲助」とは「はなのくもすけ」と読み、田沼意知が身分を隠すために使っている狂名のことです。
廓言葉について
廓言葉 (くるわことば) とは、江戸時代に遊廓で遊女が使っていた言葉遣いのことで、花魁言葉 (おいらんことば) や里言葉 (さとことば) などとも呼ばれます。遊女の出身地の訛りを隠し、平等に客に接するようにとの意図で生まれたとされています。
大河ドラマ「べらぼう」の中で使われる代表的な廓言葉と言うと、花魁・瀬川(小芝風花)が使っていた「わっち」・「ありんす」・「ござりんせん」・「おさらばえ」があります。意味はそれぞれ「私」・「であります」・「ありません」・「さようなら」です。
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