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木下雅楽助 織田刑部大輔の息子 藤吉郎に「木下」苗字を授けた人物

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目次

木下雅楽助の名前について

木下雅楽助とは

木下雅楽助(きのしたうたのすけ)(?~1584年)とは織田信長の家臣で、2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の藤吉郎池松壮亮)に「木下」の苗字を授けた人物とされています。

織田信長の足軽として仕えた藤吉郎は、木下雅楽助の足軽組の「寄子(よりこ)」として配属され、「寄親(よりおや)」である木下雅楽助から「木下」の苗字をもらったと推定されています。

そもそも木下雅楽助は、信長家臣としては決して著名な人物ではない。「信長公記」には二か所にしかみえていないし、「太閤記」にはみえていない。そのようにほとんど知られていない人物を、ここに登場させ、それから苗字を与えられた、とする内容は、創作できないことと思われる。それだけにこの内容は、真実味があるととらえられる。さらにあとで触れるが、木下雅楽助とは、別のつながりもみられた。秀吉が木下苗字を称したのは、寄親であった木下雅楽助から与えられた、と考えてよいだろう。

黒田 基樹. 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書) (pp. 95-96). (Function). Kindle Edition.

なお小一郎仲野太賀)は、「豊臣秀長」と呼ばれるまでに「木下小一郎長秀」を名乗っていた時期があります。小一郎の「木下」という苗字は、兄・木下藤吉郎秀吉の苗字である「木下」に由来するものでしょう。

木下雅楽助の名前について

続群書類従」によると木下雅楽助は織田家の一族であり、「織田薩摩守」という名前も持っていたとされています。

ただ今回の記事を書くにあたって参考とした「羽柴秀吉とその一族」を読む限り、木下雅楽助が本当に「織田薩摩守」であったかどうかはさらに検討の余地があると感じられます。

木下雅楽助の出自と家族

木下雅楽助の出自

続群書類従」によると木下雅楽助の父は織田刑部大輔(ぎょうぶたいふ)で、織田氏の一族です。

木下雅楽助の家族

織田刑部大輔の子供には、木下雅楽助以外に中川重政・津田盛月(つだもりあき)・養雲院殿がいます。

養雲院殿について

養雲院殿は織田家家臣の那古野因幡守敦順(なごやいなばのかみあつより)と結婚して岩(いわ)という女子をもうけます。

岩はのちに豊臣秀長(当時は木下小一郎長秀)とその正室(正妻)である慈雲院(「豊臣兄弟!」のにあたる女性)との間にできた長男・木下与一郎(羽柴与一郎)に嫁ぐ女性です。

木下雅楽助の動向

織田信長に仕え失脚したのちは羽柴秀次に仕える

信長公記」によると木下雅楽助は織田信長の家臣として、1560(永禄3)年の桶狭間の戦いと、1569(永禄12)年の伊勢攻めに従軍したことが記述されています。

「信長公記」における木下雅楽助の記述はこの2箇所だけですが、1572(元亀3)年に中川重政が失脚したことで木下雅楽助もまた織田家家中で失脚。

その後、木下雅楽助は秀吉・秀長兄弟の甥である羽柴秀次(のちの豊臣秀次)に仕え、1584(天正12)年に行われた小牧長久手の合戦で戦死したと伝えられています。

木下雅楽助とつながることで出世の糸口を掴んだ藤吉郎

木下雅楽助個人の業績として分かっていることは決して多いとは言えません。ただ藤吉郎・小一郎兄弟にとって重要なこととは、やはり「木下」という最初の苗字を授けられたことでしょう。

羽柴秀吉とその一族」を読むと、藤吉郎は木下雅楽助の組下に入ったから苗字をもらったというだけではなく、織田家の有力者と繋がることで出世の糸口を掴んだことがうかがえます。

それはともかくとしても、三兄弟がそろって信長の馬廻衆の有力者になっていたこと、長兄の中川重政はさらに家老の一人になっていたことは、確かなことといえ、刑部大輔の子どもたちは、織田家家中において揃って重要な地位を占めていたとみることができる。

黒田 基樹. 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書) (pp. 134-135). (Function). Kindle Edition.

また小一郎にとって木下雅楽助とのつながりで注目すべき点とは、長男・与一郎と木下雅楽助にとっては姪にあたる岩との婚姻によって両者が親戚関係になれたことでしょう。

木下雅楽助 関連記事と参考文献

木下雅楽助 関連記事

池松壮亮さん演じる藤吉郎が木下雅楽助から苗字を授けられた話については、下記の記事でも言及しています。

今回の記事で登場した岩や木下与一郎(羽柴小一郎)については下記の記事で詳しく説明しています。

木下雅楽助 参考文献

今回の記事を書くにあたって以下の文献を参考にしました。著者の黒田基樹さんは、2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されています。

著:黒田 基樹
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