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羽柴小一郎とは豊臣秀長のこと 1578年から1583年ごろの名前

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「羽柴」の由来と「羽柴」を名乗った人たち

羽柴小一郎長秀(はしばこいちろうながひで)

2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公・豊臣秀長仲野太賀)は、1578(天正6)年10月ごろから1583年(天正11)年にかけて、「羽柴小一郎(はしばこいちろう)」を名乗っています(より正確には「羽柴小一郎長秀(はしばこいちろうながひで)」)。

「羽柴小一郎長秀」の「羽柴」とは兄・羽柴秀吉の苗字に由来するもので、「小一郎」は仮名(けみょう)、「長秀」は実名にあたります。それまでは「木下小一郎長秀」と名乗っていたので、「木下」の苗字と「羽柴」の苗字を入れ替えたものとなります。

「羽柴」という苗字の由来

秀長の兄・豊臣秀吉がそれまでの「木下」という苗字から「羽柴」と改めたのは、1573(天正元)年ごろからです。

当時、織田家重臣の地位にあった柴田勝家と丹羽長秀の苗字から一字ずつを取って「羽柴」としたと説明されることもありますが、いずれにせよ秀長と秀吉が同時に「羽柴」の苗字を名乗っていたわけではなさそうです。

「羽柴」を名乗った人たちの例

羽柴秀吉以外に「羽柴」という苗字を名乗った人たちには、例えばこんな人たちがいます。

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名前秀吉との関係説明
羽柴小一郎長秀
(はしばこいちろうながひで)
1584(天正12)年5月ごろか「羽柴美濃守長秀」と名乗りを改める
羽柴与一郎
(はしばよいちろう)
小一郎の長男。木下与一郎とも呼ばれている
羽柴秀次
(はしばひでつぐ)
秀吉の姉・瑞竜院殿とも)の長男でのちに関白に昇進
羽柴秀俊
(はしばひでとし)
養子秀吉と正室・寧々ねね)の養子。のちの小早川秀秋

「豊臣秀長」と「羽柴秀長」どちらの名前が正しいのか

1586(天正14)年に正親町天皇から「豊臣姓」を下賜される

1586(天正14)年に羽柴秀吉は正親町天皇から「豊臣姓」を下賜され、「朝廷の臣」であることを証する「朝臣(あそん)」を名乗ることができるようになります(「源(みなもと)」・「平(たいら)」・「藤原(ふじわら)」・「橘(たちばな)」なども朝臣名)。

これにより豊臣一門の人間で、四位以上の位階を持つ者(御所での昇殿を許された殿上人)は「羽柴」という苗字に加えて「豊臣」という新しくできた氏姓を名乗るようになります。

「豊臣」を名乗った人たちの例

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名前秀吉との関係説明
豊臣秀長
(とよとみひでなが)
1587(天正15)年に従二位大納言に叙任
豊臣秀次
(とよとみひでつぐ)
1591(天正19)年に正二位で関白宣下を受ける
豊臣秀勝
(とよとみひでかつ)
秀吉の姉・瑞竜院殿(とも)の次男。正三位中納言まで叙任
豊臣秀保
(とよとみひでやす)
秀吉の姉・瑞竜院殿の三男で秀長の養嗣子。従三位権中納言まで叙任
豊臣秀頼
(とよとみひでより)
次男秀吉の側室・淀殿の次男。のちに正二位右大臣まで叙任

「豊臣」は氏姓 「羽柴」は苗字

現代人の感覚では氏姓も苗字も、同じセカンドネームでいわゆる「上の名前」として扱われます。

しかし国民全てに苗字を名乗ることが許されなかった江戸時代以前の日本では、氏姓は朝廷から与えられた「上の名前」として、苗字は主に地名にもとづく「上の名前」として、それぞれ別の名前として扱われていました。

そのため「豊臣秀吉」や「豊臣秀長」といった人たちを、一般的な用法として「羽柴秀吉」や「羽柴秀長」と呼称することは間違いではありません。

実際、「豊臣秀長 (シリーズ・織豊大名の研究)」の86ページから90ページにかけて紹介されている、豊臣秀長が生涯に発給したとされる文書の一覧表において差出人の署名を確認すると、1586(天正14)年以降に「豊臣秀長」と署名している文書はわずか1通だけです。

残り約60通の文書については、「上の名前」は「豊臣」とも「羽柴」とも記されていません。

現代の一般的な呼称は「豊臣秀吉」や「豊臣秀長」

ただしNHKが大河ドラマ「豊臣兄弟!」の制作発表をしたときのように、現代では豊臣秀吉や豊臣秀長のことを「羽柴秀吉」や「羽柴秀長」ではなく、「豊臣秀吉」や「豊臣秀長」と呼ぶことの方が一般的でしょう。

よって当ブログでも特定の歴史的な文脈がある場合を除いて、「羽柴秀長」ではなく「豊臣秀長」という一般的な呼称を用いています。

羽柴小一郎とは 関連記事と参考文献

羽柴小一郎とは 関連記事

時代によって名乗りを変えていてた豊臣秀長の名前や変遷については、下記の記事で詳しく言及しています。

羽柴小一郎とは 参考文献

今回の記事は下記の2冊の参考文献を参考にしています。柴裕之さん・黒田基樹さんもともに大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証を担当されています。

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