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豊臣秀吉 父親の身分は上流の百姓あるいは在郷被官の郷士

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「太閤素性記」に基づく「秀吉の父は鉄砲足軽だった説」について

豊臣秀吉の父親は本当に織田信秀の鉄砲足軽だったのか?

NHKの2026年大河ドラマ「豊臣兄弟!」で藤吉郎(池松壮亮)のちの豊臣秀吉の父親の身分は何であったかについて注目が集まっています。

江戸時代前期に徳川将軍家の旗本・土屋知貞が編纂した「太閤素性記」によると、豊臣秀吉の父親は「木下弥右衛門」で、織田信長の父にあたる織田信秀のもとで1543(天文12)年ごろに鉄砲足軽をしていたとあります。

鉄砲が伝来した同じ年に鉄砲足軽をしていたのは怪しい

しかし「太閤素性記」における「木下弥右衛門が1543(天文12)年ごろに織田信秀の鉄砲隊の足軽をしていた」という話は極めて怪しいと言わざるを得ません。

なぜならポルトガルから日本に鉄砲が初めて伝来したのが、1543(天文12)年の種子島で起こった出来事だからです。

戦国時代の後半には全国の大名に鉄砲が伝わったのは周知の通りですが、同じ年の尾張国で鉄砲隊を組織できるほど広く伝わることはなかったでしょう。

この点については大河ドラマ「豊臣兄弟!」で時代考証をされている黒田基樹さんも、編著した「羽柴秀吉一門 」の総論で指摘しています。

これらについて桑田氏は、父は「中村の百姓」ととらえて、苗字はなかったと考え、秀吉妻寧々の「実家の本家」にあやかって木下苗字を称したととらえ、天文十二年の段階で織田信秀が「足軽の鉄砲隊」を組織していたとは考えられないことをもとに、それらを否定している。
(中略)
そうすると、「太閤素性記」での、木下苗字、「鉄炮足軽」の記述は信用できないといえ、同時にその名が「弥右衛門」というのも、そのまま信用できないと思われる。

黒田基樹(編著) 羽柴秀吉一門 (シリーズ・織豊大名の研究) 戎光祥出版 14ページ

豊臣秀吉の父親は農村の有力百姓か在郷被官(郷士)だった可能性

豊臣秀吉の父は苗字がある家の娘と結婚した事実

では豊臣秀吉の父親で、「豊臣兄弟!」の弥右衛門(小林顕作)にあたる人物の身分は何だったのでしょうか?

この男性の妻である天瑞院殿(「豊臣兄弟!」のなかにあたる女性)は、関弥五郎兼員という男性の娘です。さらに「妙雲院殿栄本」の妹は、福島正信(福島正則の母)に嫁いでます。

「豊臣兄弟!」の弥右衛門なる人物は苗字がある家の娘と結婚し、妹も苗字のある家に嫁いでいることから、「奴(やっこ)」と言われる小作人身分の百姓ではなく、農村ではそれなりに力がある上層の有力百姓か在郷被官(郷士)であったのではないかと考えられています。

豊臣秀吉の父は上層百姓だったが何らかの理由で没落した

「豊臣兄弟!」で時代考証をされている黒田基樹さんは別の著作で、豊臣秀吉の父親にあたる人物の身分や出身階層についてこのように解説されています。

文章中にある「妙雲院殿」という記述は豊臣秀吉の父親にあたる人物の法名のことです。

百姓身分でも結婚ができるのは、江戸時代になっても、年貢・公事という租税の納税のもとになる耕地を所有していた階層に限られていたから、妙雲院殿自身が結婚し、さらに妹も他村の住人と結婚していることから、相応の資産を所有する階層であったとみなさざるをえない。その意味で、妙雲院殿の中村での階層は、一定の上層百姓であったと考えられる。

黒田 基樹. 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで (角川選書) (p. 34). (Function). Kindle Edition.

おそらく豊臣秀吉が少年期のときに何らかの理由で、「豊臣兄弟!」の弥右衛門にあたる人物の家が没落。秀吉は奉公に上がらねばならないほど、困窮してしまったのではないかと推測されます。

豊臣秀吉 父親の身分 関連記事と参考文献

豊臣秀吉 父親の身分 関連記事

大河ドラマ「豊臣兄弟!」に登場する藤吉郎と小一郎(仲野太賀)の父親は、弥右衛門という名前です。

しかし実在した豊臣秀吉と豊臣秀長の父親が、「太閤素性記」で記述されているように「木下弥右衛門」や「竹阿弥(筑阿弥)」という名前を名乗っていたかどうか確たる史料は発見されていません。

豊臣秀吉と豊臣秀長の父親の名前として唯一正確に分かっている名前は「妙雲院殿栄本」という法名だけです。こうした豊臣秀吉と豊臣秀長の父親やその親族関係については以下の記事が参考になるでしょう。

豊臣秀吉 父親の身分 参考文献

今回の記事は以下の書籍を参考文献としています。

NHK出版
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著:黒田 基樹
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戎光祥出版
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